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2026.08.10

空き家の相続・売却相談|維持費の不安解消と解体不要の活用術

空き家の相続・売却相談|維持費の不安解消と解体不要の活用術

「親の実家を相続したものの、遠方で管理まで手が回らない」「使っていないのに固定資産税だけが出ていく」「手続きが面倒で、気づけば数年が過ぎた」。札幌市や近郊で相続不動産の相談を受けていると、こうした声をほぼ毎週のように伺います。

結論からお伝えすると、空き家は放置している期間が長いほど選択肢が減り、手元に残る金額も目減りします。建物の劣化が進むこと、税制優遇に期限があること、そして2023年12月13日に施行された改正空家法で「管理不全空家等」への措置が設けられたことが理由です。

ただし「解体費用が数百万円かかりそうで動けない」という不安は、多くの場合そのまま受け取る必要がありません。解体しなければ売れない、という思い込みは実務上まったく正しくないからです。

この記事では、不動産プラザトライが札幌市および江別市・石狩市・小樽市・北広島市・恵庭市・千歳市で対応してきた経験から、税金と維持費の実態、相続手続きの進め方、解体せずに売却・活用する具体策を整理します。

 

目次

  1. 実家を空き家のまま放置する3つの大きなリスク
  2. 面倒な空き家の相続手続きをスムーズに進める手順
  3. 解体費用の不安を解消!そのままの状態で空き家を売却する方法
  4. 売却以外の選択肢!解体せずに空き家を収益化する活用術
  5. 空き家の悩みを放置せず専門家へ相談すべき理由
  6. まとめ

 

1. 実家を空き家のまま放置する3つの大きなリスク

「とりあえずそのまま」という判断は、想像以上にコストが高くつきます。維持費が出ていくうえ、税負担が変わる可能性があり、近隣への賠償リスクも抱え続けるためです。北海道では一般的な老朽化に加え、積雪荷重、落雪、水道管の凍結・破裂といった寒冷地特有の管理リスクにも注意が必要になります。

 

特定空き家指定による固定資産税の大幅な増税

実害が最も大きいのは固定資産税です。住宅用地には課税標準の特例があり、200㎡以下の部分は6分の1、200㎡を超える部分は3分の1に減額されています。市区町村長から勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等の敷地は、この住宅用地特例の適用対象から除外されます。「6倍になる」とよく言われますが、これは増税ではなく減額されていた分がなくなって元の水準に戻るという意味です。

2023年12月13日に施行された改正空家法では「管理不全空家等」が新設されました。放置すれば特定空家等に該当するおそれがある空き家について、市区町村が指導や勧告を行えるようになっています。窓の破損や雑草の繁茂があれば直ちに認定されるわけではなく、建物の状態や周辺への影響を踏まえて自治体が個別に判断しますが、指導の段階で改善するかどうかが、その後の税負担の分かれ目になります。

 

建物の老朽化による維持費の増大と近隣トラブル

誰も住んでいない家は、換気されず湿気がこもるぶん早く傷みます。多雪地では雪の重みも加わり、雪下ろしを怠れば小屋組みが損傷し、暖房を止めた家では水道管の凍結・破裂も起こります。

以下は空き家の保有中に一般的に発生する費用項目です。金額は評価額、建物規模、立地、管理頻度、保険契約などで大きく変わるため、個別に見積もる必要があります。

※表は左右にスクロールして確認することができます。

費用項目 金額が変動する主な要因
固定資産税・都市計画税 土地・家屋の評価額、住宅用地特例の適用有無、都市計画区域か否か
除雪・雪下ろし 敷地面積、屋根形状、積雪量、依頼頻度
火災保険 建物の構造・築年数、補償範囲、空き家としての契約条件
剪定・草刈り・見回り 庭の広さ、訪問回数、遠方の場合は交通費や代行費

見落とされやすいのが賠償責任です。落雪や屋根材・外壁材の飛散、塀の倒壊などで第三者に損害を与えた場合、占有者や所有者が損害賠償責任を負う可能性があります。遠方に住んでいることだけで、当然に責任を免れるわけではありません。

 

リスクを避けるための早期決断と対策の重要性

早期決断が重要な最大の理由は、税制優遇に期限があることです。相続した家を売る際の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は譲渡所得から最高3,000万円を控除できますが、次の期限があります。

  • 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 制度そのものの適用期限が2027年(令和9年)12月31日まで

対象家屋が昭和56年5月31日以前の建築で区分所有建物ではないこと、相続開始の直前に原則として被相続人以外の居住者がいなかったこと、売却代金が1億円以下であること、相続から売却まで事業・賃貸・居住に使っていないことなども要件です。対象家屋と敷地等を取得した人が3人以上の場合、控除上限は1人あたり2,000万円になります。先延ばしの結果、数百万円単位の節税機会を逃す例は現実に起きています。

✓ポイント 損失は、住宅用地特例の除外・維持費の累積・税制優遇の失効という3方向から同時に進みます。相続の発生時点で「3年」のタイムリミットが動き出していると捉え、建物の状態と使えそうな特例の確認から始めると判断を誤りません。

出典:固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置|国土交通省

 

2. 面倒な空き家の相続手続きをスムーズに進める手順

相続手続きは後回しにされがちですが、放置すれば義務違反になり、時間が経つほど関係者が増えて話がまとまりません。順序さえ理解していれば、専門家の力を借りて数か月で終えられます。

 

トラブルを防ぐための迅速な遺産分割と相続登記

まず取り組むべきは遺産分割協議と相続登記です。2024年4月1日から相続登記が義務化され、自己のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければ、正当な理由なく怠った場合に10万円以下の過料の対象となります。施行日前に開始した相続も対象で、その場合は原則として2027年3月31日までが期限です。

※表は左右にスクロールして確認することができます。

手続き 原則的な期限
相続放棄・限定承認 自己のために相続開始があったことを知った時から3か月
相続税の申告・納付 相続開始を知った日の翌日から10か月
相続登記(基本的義務) 相続開始と不動産の取得を知った日から3年
遺産分割後の登記 遺産分割が成立した日から3年
空き家特例を使う売却 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日

分割協議が長引きそうなら「相続人申告登記」で基本的義務を果たせますが、名義は移らず、遺産分割成立後の追加的義務までは果たせません。売却や活用を視野に入れるなら、正式な相続登記まで進める必要があります。

 

必要書類の収集と専門家を活用した負担軽減

つまずきやすいのは書類集めです。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本は、本籍を何度も移していると複数の自治体への請求が必要になり、それだけで1〜2か月を要します。

必要書類は遺言の有無や遺産分割の方法によって変わりますが、一般的には次のものを揃えます。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本、除票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書と、協議に参加した相続人の印鑑証明書
  • 新たに名義人となる人の住民票
  • 登記事項証明書、固定資産評価証明書

2024年3月に始まった戸籍の広域交付制度で負担は軽くなったものの、相続人が多い場合や遠方在住だと調整に手間がかかります。司法書士報酬に統一料金はなく、不動産の数、相続関係の複雑さ、戸籍収集や協議書作成の有無で変動し、登録免許税や証明書取得費も別途必要です。依頼前に総額の見積もりを確認しておくと、後から想定外の費用が出てきません。

 

名義変更の完了が売却や活用の第一歩

見落とされがちですが、被相続人名義のままでは買主への所有権移転登記を完了できないため、売却の決済前に相続登記が必要です。賃貸に出す場合も、相続によって不動産が共有状態になっていることがあり、相続人間の共有関係や同意の要否を整理してから契約する必要があります。買主が決まってから登記に着手すると書類が揃うまで契約を待たせることになるため、実務では査定と並行して登記を進めます。

✓ポイント 相続手続きは「相続登記まで終えて初めてスタートライン」と考えておくと安全です。3,000万円特別控除を狙う場合、登記の遅れがそのまま期限切れに直結します。着手は早いほど有利に働きます。

出典:相続登記の申請義務化について|法務省

 

3. 解体費用の不安を解消!そのままの状態で空き家を売却する方法

築古の家は解体しないと売れない、と考えて動きを止める方が多いのですが、現状のまま売る選択肢は複数あり、多くのケースでそちらのほうが手元に残る金額は大きくなります。住宅用地に該当するかどうかは原則として毎年1月1日時点の状況で判断されるため、解体して更地のまま年をまたぐと、翌年度から住宅用地特例を受けられなくなる可能性があります。

 

「古家付き土地」として現状のまま売りに出す

最も一般的なのが、建物を残したまま「古家付き土地」として売る方法です。買主は土地としての価値を見て購入し、解体は買主側で行います。売主に解体費用の持ち出しがない点が利点ですが、建物を残していても管理不全空家等・特定空家等として勧告を受ければ住宅用地特例の対象から外れるため、「建物さえ残せば安心」とは言えません。

築古住宅では、建物の契約不適合責任の範囲や期間を特約で限定することがあります。ただし、売主が把握している雨漏りやシロアリ被害などは具体的に告知する必要があり、免責条項があっても一切の責任を免れられるとは限りません。境界や越境、地中埋設物といった土地に関する事項も別途整理しておきたいところです。

 

近年増加するリノベーション需要を狙って買い手を探す

札幌市内でも、中古住宅を安く買って自分好みに改修したい層が増えています。断熱改修や耐震補強を前提に探す買主にとって、古い家は解体対象ではなく「素材」です。

取り込めるかどうかは建物の状態と立地しだい。基礎や躯体が健全でアクセスも良ければ、更地として売るより高値がつく場合もあります。なお空き家の3,000万円特別控除を使う場合、家屋を残して売るなら原則として耐震基準への適合が必要で、売却後、譲渡した年の翌年2月15日までに買主が耐震改修または取壊しを行う形も認められます。建物をマイナス要素と決めつけず、税制も含めて出口を設計する価値はあります。

 

手間と時間を省きたい場合は不動産買取業者の利用を検討する

残置物が大量にある、遠方で内覧に立ち会えない、早く現金化して相続人で分けたい。こうした事情があるなら、不動産会社が直接買い取る「買取」が現実的です。

※表は左右にスクロールして確認することができます。

売却方法 価格の傾向 期間の目安 向いているケース
古家付き土地(仲介) 市場価格に近い 3か月〜半年 時間に余裕があり価格を優先したい
リノベ需要狙い(仲介) 建物価値を上乗せできる場合あり 3か月〜半年以上 躯体が健全で立地条件が良い
買取 仲介より低め 数日〜1か月 早期の現金化、残置物や訳あり事情がある

不動産会社が直接買主となる買取では、通常その会社への仲介手数料は発生しません。ただし契約不適合責任の範囲や、残置物を残したまま引き渡せるかどうかは買取会社と契約条件によって異なるため、査定の段階で確認しておく必要があります。

✓ポイント 解体するかどうかは、感覚ではなく数字で決める話です。解体費用の見積もり、解体後の税負担の変化、更地と古家付きそれぞれの想定売却価格を並べれば答えは見えてきます。この試算は査定時に不動産会社が用意します。

出典:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

 

4. 売却以外の選択肢!解体せずに空き家を収益化する活用術

思い出のある実家を手放したくない、という方も当然いらっしゃいます。その場合は建物を残したまま収益を生む形に切り替える道があります。ただし活用は売却より判断が難しく、想定が甘いと赤字が続きます。

 

DIY型賃貸として初期費用を抑えて貸し出す

DIY型賃貸借は、借主が自費で改修することを前提に、そのぶん賃料を抑えて貸す仕組みです。国土交通省もガイドラインや契約書式を公表しており、大規模なリフォーム費用をかけずに賃貸へ踏み出せる点が最大の利点になります。

ただし雨漏りや給排水設備など基本性能に関わる部分は貸主側で直すのが原則。原状回復の範囲と改修部分の扱いを文書化しておかないと、退去時にもめます。

 

地域のニーズに合わせたシェアハウスや民泊への転用

部屋数の多い戸建てなら、シェアハウスへの転用も選択肢に入ります。札幌市周辺は大学や専門学校が集まり、単身者の需要が一定量あるエリアです。

民泊は住宅宿泊事業法にもとづく届出で運営できますが、人を宿泊させる日数が年間180日を超えられないほか、自治体の条例で区域や期間に上乗せ規制が設けられている場合があります。用途地域や消防法令への適合も求められるため、観光需要を見込める小樽市や札幌市中心部でも、着手前に自治体の窓口と管轄の消防署へ確認してください。

 

活用を成功させるための収支シミュレーションと管理体制の構築

検討の際は、最低でも次の項目を数字に落とし込んでおくべきです。

  • 初期投資額(改修費、家具・設備費、届出関連費用)
  • 収入見込み(周辺相場から逆算し、空室率を織り込む)
  • 固定支出(固定資産税、保険料、管理委託料、修繕積立)
  • 回収期間(初期投資を何年で取り戻せるか)

遠方在住の方が見落としがちなのが管理体制です。入居者対応、設備の故障、冬期の除排雪。自分で担えないなら、管理会社への委託費を最初から収支に組み込みます。「自分の手間」を無料で計上すると、シミュレーションは必ず崩れます。

✓ポイント 活用が向くのは、躯体が健全で、賃貸需要のあるエリアに立地し、管理を任せられる体制を組める場合に限られます。ひとつでも欠けるなら、売却を軸に検討したほうが負担は軽く済みます。迷ったときは、活用と売却それぞれの10年後の手残りを比べてみてください。

出典:民泊制度総合サイト Minpaku|観光庁

 

5. 空き家の悩みを放置せず専門家へ相談すべき理由

ここまで読んで「自分のケースはどれに当てはまるのか分からない」と感じたなら、それが相談すべきサインです。空き家の問題は不動産・税務・法務が絡み合っており、ひとつの知識だけでは最適解にたどり着けません。

 

不動産や税制のプロが個々の状況に最適な解決策を提示

同じ「築45年の空き家」でも、立地、建物の状態、相続人の人数、相続からの経過期間で取るべき手段は変わります。3,000万円特別控除が使えるなら期限内の売却が最優先ですが、特例の対象外であっても維持費や劣化、積雪管理、相続関係の複雑化といった負担は続きます。税制だけで売却時期を決めず、保有コストと将来の売却可能性を並べて判断するのが妥当です。

私たちが札幌市や江別市、北広島市で相談を受ける際も、最初に確認するのは建築年月日と相続開始日です。この2つの日付だけで、選べる選択肢の範囲はかなり絞り込まれます。自己判断で解体を発注した後では、取り返しがつきません。

 

税理士・司法書士・不動産会社など目的別の正しい相談先

相談先を間違えると、時間だけが過ぎていきます。

※表は左右にスクロールして確認することができます。

相談内容 適した専門家
物件の価格、売却方法、活用の可否 不動産会社
相続登記と、登記手続きに付随する遺産分割協議書 司法書士
相続税の申告、譲渡所得税、特例の適用可否 税理士
相続人同士の争い、遺産分割交渉、遺留分 弁護士
境界の確定、土地の測量 土地家屋調査士

窓口が分散すると調整だけで疲れてしまいます。相続不動産を扱い慣れた不動産会社なら、司法書士や税理士と連携しながら全体を進行できるため、最初の相談先としては現実的です。

 

まずは無料査定や無料相談を活用して実家の価値と現状を把握する

費用対効果が高い第一歩は、無料査定で現状を数字にすることです。査定額が分かれば、売却・活用・保有のどれが有利かを比較できます。依頼したからといって売る義務は生じません。むしろ判断材料が揃わないまま悩み続ける時間こそが、最も高くつくコストです。

✓ポイント 専門家への相談は、答えを出してもらう場ではなく判断材料を揃える場です。査定額、適用できる特例、想定スケジュールの3点が揃えば、あとはご家族の希望と照らし合わせるだけです。

 

6. まとめ

空き家の相続は、時間が経つほど選択肢が減る問題です。住宅用地特例から外れるリスク、積雪や老朽化による維持費と賠償リスク、期限付きの3,000万円特別控除。いずれも「後回しにした人ほど不利になる」構造を持ちます。

一方で、解体費用を理由に足踏みする必要はありません。古家付き土地としての売却、リノベーション需要を見込んだ販売、買取、DIY型賃貸やシェアハウスへの転用と、建物を残したまま選べる道は複数あります。大切なのは、それぞれを数字で比べて決めることです。

不動産プラザトライでは、札幌市を中心に江別市・石狩市・小樽市・北広島市・恵庭市・千歳市で、相続不動産や空き家の売却・買取のご相談を年中無休で承っています。残置物が残ったままの物件、長年放置した物件、権利関係が複雑な訳あり物件にも対応し、オンライン相談も可能です。

「まだ売ると決めたわけではない」という段階で構いません。実家の現在価値と取りうる選択肢を知るところから、一緒に整理していければと思います。

なお、本記事は一般的な制度の説明です。個別の適用可否や税額、契約条件は状況によって異なるため、実際の判断にあたっては所轄の自治体・税務署や各専門家にご確認ください。

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