購入トラの巻(住まい購入の流れ)

購入トラの巻

住宅購入における、情報収集の方法、申込み方法など、知っておきたいポイントや注意事項などをまとめました。

どんな物件を選ぶか

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1.物件選びその1 マンションか一戸建てか

 

家族構成や生活スタイルなどで理想の住まいは人それぞれ違いますので、一概に一戸建、マンション、どちらが良いとは言えません。まずは自分達家族の生活スタイルを把握し、何を優先させたいかをはっきりさせることが必要です。

(例:子供をのびのび育てることを優先したい→郊外の一戸建、通勤時間を節約しプライベートを充実させたい→駅近マンション など)

 

また、当然誰しも予算の上限があるため、すべての希望条件が叶うことはまれです。住みたいエリアの範囲とその相場をしっかりと把握し、自分たちの予算ならどの場所のどんな物件が購入可能かを頭に入れながら、マンションが良いのか一戸建が良いのか、計画を立てていきましょう。

 

全てが満足できる物件を探すことはむずかしいですから、自分や家族にとっての優先順位を考慮し、価格面とのバランスをとりながら、ライフスタイルにあった物件の選択を行うことが大切です。

 

 

2.物件選びその2 新築か中古か

 

価格や立地などの条件が同じであれば、最新の設備を備え耐用年数も長い新築物件のほうが、中古物件よりも良いに決まっています。ただし、同じ場所で広さ等の条件が変わらなければ、当然新築住宅の方が価格が高くなります。

 

中古物件を選択する場合のメリットは、月々の支払いを抑えられることや、同じ予算でも新築よりも便利な場所に住める可能性が高いこと、新築物件が無いエリアでもタイミングによっては物件が買えること、などが挙げられます。

 

例えば、「職住近接を最優先に考え都心のマンションに住みたいが、希望エリアの新築マンションは高くて手が届かない…」なんて場合でも、中古マンションであれば予算内に収まる可能性がありますし、「子育てなどを考え郊外にある実家のそばに住みたいが、近くに新築物件が無い」という場合でも、中古ならタイミングによっては売りに出ていたりします。

 

また、新築の場合は建売住宅や完成済みマンション以外は、完成前に購入を決めなければなりませんが、中古の場合は実際に物件をチェックしてから購入を決められることもメリットです。

 

間取の自由度が低かったり、耐用年数が新築と比べると短かったりというデメリットもある中古物件ですが、リフォームで改善できる部分も多く、築年数など一定の要件を満たせば、中古物件でも住宅ローン控除などの税制優遇も受けられるようになっています。

 

金利の上昇の可能性などもふまえ、無理のない予算で自分たちのライフスタイルにあった住まいを手に入れるには、新築が良いか中古が良いかを、それぞれのメリット・デメリットを比較して選択しましょう。

物件情報の収集

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1.物件情報はどうやって集めるか

 

良い物件との巡り合いの機会は、物件情報量と正比例するといわれています。物件情報を入手するには次のような方法があります。

 

(1)情報アンテナを張り巡らす

人気の高い物件は広告に載せる前に決まってしまう場合もあるため、そのような物件の情報を得るために、新築でも中古でも複数の不動産会社に希望条件などを伝え、声がけしておくことが有効です。また、その他新聞広告等の媒体も丹念に注視していき、新築・中古情報は専門の住宅情報誌を定期購読して最新の情報を取り寄せるなど積極的な情報収集が必要です。

 

(2)インターネットを利用する

今はほとんどの不動産会社が物件の販売にインターネットサイトを利用しています。いち早く幅広い物件情報を取得できる手段として、複数の大手インターネットサイトに登録し、定期的に物件情報をチェックしましょう。

 

(3)チラシ広告、折り込み広告等

住まいの近くの物件情報は新聞に折り込まれるチラシ等が役立ちます。

 

※各種広告に記載された情報について

 

不動産広告には各種規制法令があり、特に不動産公正取引協議会が設定した「公正競争規約」は、広告表示の必要表示事項、特定事項の表示義務と表示の禁止、表示基準、特定用語の使用基準、不当表示の禁止等を定めています。主な不動産業団体に加盟している不動産会社は、この規約を遵守する義務を負っています。

 

しかし、一部の悪質な不動産会社が、時としてチラシなどに不当な物件表示をして惑わすことがあります。「掘出しもの」とか「格安」といった類いの表示は禁じられているので注意が必要です。

 

(4)不動産会社を訪問する

仲介物件の場合、流通機構により各業者の物件情報は共有されています。インターネットなどに販売元として記載された業者以外でも、その物件の紹介が可能な仕組みになっており、訪問して希望条件を伝えると、その場で売り出し中の物件情報の紹介を受けることが可能です。また、その時に希望の物件がなくても、その後希望の物件が売りにでた際に紹介を受けられる場合もあります。

 

※※物件代金以外の諸経費について※※

 

物件代金以外の諸費用や購入手続きなどは、物件の種類や住宅ローンの内容などにより異なりますので、不動産会社を訪問した際や物件見学の際にしっかりと確認をしましょう。

 

【主な住宅購入にかかる諸経費の内容】

■収入印紙代(売買契約書や住宅ローン契約書に貼付する印紙代・記載金額により異なる)

■登記費用(所有権や抵当権を登記する税金及び司法書士手数料・物件により異なる)

■清算金(固定資産税やマンション管理費等の日割り清算金や新築マンションの場合の積立一時金など)

■火災保険料(建物及び家財・任意加入・長期一括の場合は割引保険料あり)

■住宅ローン手数料・保証料(金融機関・ローン内容により異なる)

■仲介手数料(仲介物件の場合・400万円超物件の法定手数料計算式:売買価格3%+6万円+消費税)

■事務手数料(不動産会社により異なる・融資取り扱いなどの場合)

■確認申請手数料・設計費用(新築住宅の場合・代金に含まれる場合もあり)

■建物検査・証明書代(任意で建物検査をした場合やフラット35適合証明書発行の場合)

 

※この他にも費用がかかる場合があります

 

不動産会社との関係を知っておこう

媒介契約とはなにか

 

不動産の売買や交換の仲介を不動産会社に依頼する契約を媒介契約といいます。

 

不動産会社がこの媒介契約を締結したときには、物件特定のための必要表 示、売買すべき価額・評価額、媒介契約の種類、有効期間、解除に関する事項、成功報酬額等を記載した書面を作成し、記名押印して、依頼者に交付すること等 が義務づけられています。

申し込みから売買契約まで

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1.購入の申し込み

 

気になる物件を積極的に見学し、気に入った物件が見つかった場合、まずは申込書に必要事項を記入することで「この住宅を買います」という意思表示を行うことになります。その際に申し込み金の有無や手付金の支払い時期、申し込み解除の場合のペナルティの有無などについてしっかり確認をしましょう。

 

抽選の場合は申込みの前に登録が必要になります。また、申込み時には前年(ケースによっては前々年)の収入が証明できる書類(源泉徴収票や納税証明書等)が必要な場合があります。

 

 

2.重要事項の説明

 

不動産取引には複雑な法律等が絡み合っているため、宅建業法は不動産業者が売主となったり、媒介を行う場合には、購入者に対して売買契約に先立って一定の重要な事項について、書面で説明するように義務付けています。これを重要事項の説明といいます。

 

重要事項の説明は不動産の専門家といえる「宅地建物取引士」が購入希望者に対し「取引士証」を提示し自分が資格者であることを証明した上で物件の内容や取引条件などを説明する義務があります。

 

重要事項は購入対象物件に関する事項と取引条件に関する事項とに分けられますが、これら法定の一定事項を説明すれば十分であるというものではなく、これら事項以外であっても説明しないことにより買主に不測の損害を与えるような事実があれば説明しなければなりません(宅建業法第47条)。

 

不明な点があれば重要事項説明を受ける時点で十分に納得するまで説明を受けるようにしましょう。

 

3.売買契約

 

重要事項の説明を取引主任者から受けて、取引きしようとする物件に関する権利関係、法令上の制限、その他物件取引きの諸条件について納得したなら、売買契約の手続きに入ります。契約は口頭でも有効ですが、宅建業法では取引きの安全と買主保護の見地から、不動産業者が自ら当事者として売買契約を締結するときには、買主に一定の事項を記載した書面(売買契約書)を交付するように義務づけています。

 

媒介の場合も同様に取り扱われます。契約書に記載される事項は、購入する物件や取引きの条件によってさまざまなパターンがありますが、基本的な事項は次のとおりです。

 

 

(1)記載しなければならない必要事項

・当事者(売主、買主)の氏名、住所

・物件を特定するために必要な表示

・所在および住居表示、登記上の地番・家屋番号、土地面積、建物面積等

・代金の額、支払い方法、支払い時期

・物件の引渡し時期…通常新規分譲物件の場合には、竣工予定日とともに若干の余裕をみた買主への引渡予定日をその時期として表示します

・所有権移転登記の申請時期…買主が売主に売買代金の支払いを完済したときを所有権移転の時期とします

 

 

(2)定めがあれば記載する事項

・代金以外の金銭の授受

・契約の解除

・損害賠償額の予定・違約金

・住宅ローン不成立時の処置

・危険負担

・瑕疵担保責任

・租税その他の公課の負担

売買代金の支払いと登記手続き

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1.売買代金の支払いの流れ

 

一般的な代金支払いの流れは次の通りとなります。

 

(1)申込金

その物件を購入したいとする意思表示のための証拠として、または、申込み順位の確保のため、購入申し込み時にかかります。中古物件の場合はかからないことがほとんどですが、不動産会社に確認しましょう。

 

(2)手付金…売買の本契約締結時

売買契約を締結する際に買主様から売主様へ支払います。契約解除の場合の「解約手付」に該当し、契約が約定どおり履行された場合、売買代金の一部に充当されますので、予定の支払いが増えるわけではありません。

(一般的な相場は売買代金の5~10%程度と言われますが、明確な規定はありません。)

 

(3)内金(中間金)…買主の履行の着手

売買代金の前払い金をいい、買主が売買代金の一部である内金を売主に支払ったときには、買主は契約の履行に着手したことになり、売主は手付金を倍返しして契約解除ができなくなります。

中古物件や建売物件の場合は設定しないことがほとんどですが、不動産会社に確認しましょう。

 

(4)残代金…本物件の引渡し時または融資実行時

売買代金の残金や諸費用を支払って、物件の登記を行います。

 

残金は売買代金から既に支払っている申込金、手付金、内金を引いた金額になります。残金が融資額より多い場合はその分を現金等で準備しなければなりません。

 

また、土地を購入して建物を建て、費用を住宅ローンでまかなう場合、金融機関などのつなぎ融資が必要な場合があり、建築期間分の金利がかかる場合があります。

 

※融資手続きの流れは契約や物件の内容、金融機関により異なります。代金以外の諸経費の支払い時期などと合わせ、不動産会社によく確認をしましょう。

 

 

2.登記手続きの進め方

 

新規分譲マンションや建売住宅の場合には、登記の手続きは不動産会社が手配してくれますが、中古物件を購入したり、媒介等で自分の不動産を手放したりする場合には、所有権の移転登記手続きについてもある程度の知識をもっておく方が良いでしょう。

 

登記がなぜ必要かといえば、登記は第三者に自分のものだと主張できる対抗要件になっているからです。

 

例えば、貴方がある土地を購入したとします。ところが売主は同じ土地をAさんにも売っていたとしたらどうなるでしょうか。当然貴方はAさんと土地の所有権の移転を巡って争うことになります。しかし物権変動を第三者であるAさんに認めさせるためには、貴方名義の登記がなければ先に登記したAさんに負けてしまうのです。

購入後の主な手続きについて

とらいくん

物件購入後にも税金の支払いなどの手続きが必要です。

主な手続きは以下の通りです。

 

(1)不動産取得税

購入後3ヶ月程度で納税通知が届きます。(固定資産評価額によって異なりますが、札幌の一般的な中古住宅の場合は10~30万円程度)

自己居住用の不動産購入の場合は、一定の要件を満たせば軽減手続きがあり課税されないこともありますので、必ず購入前に不動産会社などに確認をしましょう。

 

(2)固定資産税

当年分は売買時に清算し、翌年の1月1日時点で所有者だった場合、4月中旬頃に納税通知書が届きます。

一括で支払うことも4期に分けて支払うこともできます。

 

(3)すまい給付金

消費税率が5%から増加したことへの緩和措置として、事業者が売主で価格に消費税がかかる物件を購入した場合、瑕疵保険加入などの要件を満たせば、収入に応じて最大30万円の還付が受けられます。「すまい給付金」公式サイトにてシミュレーション可能(源泉徴収票の内容を入力)です。適用可能な物件かどうかは不動産会社に確認しましょう。

 

(4)住宅ローン減税(住宅ローン利用の場合)

適用条件を満たした場合、借り入れから10年間、年末の借入残高の1%を上限に、所得税(上限有り。控除しきれない場合は住民税から控除)が控除されます。当初1年分は確定申告が必要で、一般的な会社員の場合、翌年以降は年末調整にて手続きされます。

 

この他に、購入にあたって親から贈与・援助金があった場合などは、購入翌年の確定申告が必要です。

 

※上記は手続きの概要です。税の軽減や還付については詳細な適用条件や適用期間などがあります。必ず関係官庁や不動産会社、税理士などの専門家に確認をしてください。